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日立が歩行者のカメラ映像から移動経路を自動追跡するビルセキュリティ技術を開発

日立製作所日立研究所は、このほどビルの出入り口、エレベータホール、通路などに設置したカメラ映像から、人物の上半身と下半身の着衣の色合いを抽出して人物を判別することにより、特定の人物の移動経路を推定するビルセキュリティ技術を開発した。
これにより、従来、監視員がカメラ映像から判断していた方法では不可能だった複数のビルの利用者の移動経路を自動追跡できるので、その人のセキュリティレベルに応じて、ビル内の許可された区域で自由に移動することができるようになる。また、監視室での多数のカメラ映像の目視業務や記録映像からの不審者経路追跡といった手間のかかる作業が軽減できる。本技術は、多くの人々が出入りするビル内の安心と利便性を向上させるビルセキュリティの基本技術である。
ビルのセキュリティレベルを向上しつつ、居住者や利用者の利便性を低下させないためには、セキュリティ制限の必要のない人には自由にビル内を移動できるように、また、セキュリティレベルの高い人には移動範囲を制限するというように、どのような人がどこに移動したのかを高い精度で追跡することが必要である。しかし、現時点では監視員がカメラ映像から、一部のセキュリティレベルの高い人物を特定して追跡をしているのが実情であり、多くの人物を移動追跡することは困難となっている。
このような背景から今回、日立では、ビル内を移動する人物を、複数のカメラを使って自動追跡する技術を開発したもの。
開発技術の特長は以下の通りである。
(1)複数のカメラ映像で撮影される人物の自動特定技術:
人物を特定するためにカメラ映像からエッジ抽出技術を用いて人物像を切り出し、上半身と下半身の着衣の輝度比を人物特徴情報とする方式を開発した。この着衣の輝度比を使った特徴量は、人物の姿勢やカメラからの向きに影響されず、しかも照明や外光の変化に影響されにくいという利点がある。
(2)人物移動経路の推定技術:
移動経路追跡用のコンピュータが、各カメラから受け取った個人を特定する特徴を相互比較することによって特定人物の移動経路を追跡する。類似した着衣の人物の場合は、コンピュータが持っているビルの3次元空間モデルを基に、各カメラ間の人物の到達時間が合理的かどうかを判断して識別を行う。
日立は、開発技術を用いてビル内を移動する人物の特定と移動追跡を実現するビルセキュティシステムを試作し基本機能を確認した。この技術は、現在のITビルに見られる多重の認証手続きの煩雑さを回避し、認証された人物として、その人のセキュリティレベルによって許可された区域では自由に移動することが許される「未来の知的ビルセキュリティシステム」に道を拓くもの。
今後は、本技術の実用化に向けて、着衣の輝度に加え、色相、人物移動速度、移動方向することにより、追跡精度を向上していく予定である。
なお、本技術は11月25日と26日の両日、東京・港区の品川プリンスホテルで開催される日立グループ都市開発ソリューションフェアに出展する。


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