大日本印刷とオムロンは共同で、ICタグを使って企業内にある顧客リスト、契約文書、経理書類など紙で保管されている重要文書の貸出し・返却、不正持ち出し、保管書類の管理などが安全に行える「重要文書管理システム」を開発、今月15日から予約販売を開始し年内に出荷を予定している。 |
システム全体の企画、設計、販売を大日本印刷が、ハードウエア機器の全体設計をオムロンが行う。また、ソフトウエア開発をオムロンのグループ会社であるオムロンソフトウエアが、保守メンテナンスを同じくオムロンのグループ会社であるオムロンフィールドエンジニアリングが行う。 |
基本システム一式は10,000,000円からで、両社は、顧客リストなどの重要文書を管理する必要がある銀行・カード会社・保険会社といった金融関係企業や、多くの顧客データを持つ流通・メーカー企業などに本システムの積極的な販促を行い、初年度10億円の売上を見込んでいる。 |
「重要文書管理システム」は、管理する重要文書にICタグを装着し、重要文書の貸し出し先、返却予定、保管されている場所などの管理を簡便に行うことが出来るシステム。また、重要文書が保管してある部屋の出入り口にゲートシステムと監視カメラを設置し、不正持ち出しの防止機能など高い安全性を持つ。 |
個人情報などの情報漏洩事故の多発や、来年4月からの個人情報保護法の施行を控え、企業内にある重要書類の管理体制が重要になってきている。企業内には顧客リスト・顧客のカード利用明細などの個人情報のほかにも、経理書類、契約文書、知的財産に関わる文書、人事・労務関連文書、設計図面など社外秘扱いの重要文書が紙文書として多く保管されている。 |
これまでは、これらの文書の貸出し・返却、保管は、記帳による管理を行っている場合が多く、管理業務の負荷や記帳洩れなどによる貸し出し先の不明・紛失など、その管理手法が課題になっていた。 |
今回、ICタグの製造からラベル化及び関連するさまざまなアプリケーションの開発を行っている大日本印刷と、ICタグの製造及び関連の機器製造に加え、数々のセキュリティ技術を持つオムロンが協力することで、安全で容易な重要文書管理システムの提供を行うもの。 |
「重要文書管理システム」の基本構成と流れは次のとおり。 |
〔基本システム構成〕 |
管理文書のマスター登録、貸出し社員(職員)登録、文書用・社員(職員)用ICタグ内臓ラベルの発行、貸出し返却管理など全体を管理する管理者用端末、棚卸用ハンディ型リーダー、重要文書の貸出し・返却を受け付ける貸出し用端末、入退出管理や貸出し処理が行われていない文書持ち出しなどの不正持ち出しを防止するゲートシステム、ゲート通過者の画像を自動的に保存する監視カメラで構成。 |
さらにセキュリティ性を高めるオプションとして、顔画像認識システムを付帯することも出来る。 |
〔システムの流れ〕 |
(1)管理者用端末で、保管文書の保管棚番号、書類番号、書類名、貸出し期間など、書類マスターの登録及び、登録した保管文書用のICタグ内蔵ラベルの発行を行う。重要文書1点1点に、発行したICタグ内蔵ラベルを装着する。 |
(2)重要書類の貸出しを希望する社員(職員)は、管理者へ社員(職員)登録を依頼し、社員(職員)証用ICタグ内蔵ラベルを発行する。 |
(3)貸出し用端末のパネル型ICタグリーダーに、持ち出しする重要文書と、社員(職員)証用ラベルを置き、貸出し処理を行う。 |
(4)貸出し・返却のデータを基に、入り口のゲートシステムと監視カメラが連動して入退出者をチェックする。監視カメラで退出者の画像を記録するほか、貸出し処理が行われていない重要文書の持ち出し時には、警報ブザー、防犯ランプ点灯により不正持ち出しを防止する。ゲートを通過したICタグの情報と監視カメラの画像は自動的に関連付けされて保存される。 |
システムの特長は次のとおり。 |
・重要文書管理にICタグを利用することで、いつ、誰が、何を持ち出したかの情報がシステムに正確に登録されるようになるため、今何処にあるかなどの所在管理がリアルタイムで実現することが可能。 |
・ICタグのデータ、入退出管理を行うゲートシステム、監視カメラを連動させて不正な重要文書の持ち出しを防止するセキュリティ性の高い文書管理システム。 |
・管理する文書ごとに、貸出しの不可、貸出し期間、保管期間、保管場所の設定が行え、重要文書の貸出し・返却管理、棚卸などの業務が確実に効率的に行える。 |
・紙文書のほか各種重要文書のバックアップデータを収納したCD-ROM、CMTなどのメディアの管理も行える。 |
・365日対応の保守・メンテナンス体制で、安全・安心に運用を行うことが出来る。 |
基本システムを構成する機器は次のとおり。 |
・ICタグ内蔵ラベル5,000枚 |
・管理者用端末(パソコン/サーバー×1台、ICタグラベルプリンター×1台、パネル型リーダー×1台、ハンディ型リーダー×1台) |
パソコン:管理する文書の登録、社員(職員)登録、ICタグラベル発行、貸出し・返却管理、棚卸管理、ゲートシステムのログ管理、監視カメラ画像管理など、全体の管理を行うシステムを搭載。 |
ラベルプリンター:ICタグ内蔵ラベル表面へのプリントと、ICタグ部分へのエンコードを自動的に行う。エンコードデータは自動的に管理者端末に登録される。 |
パネル型リーダー:ICタグ読取機。文書に添付したICタグと社員(職員)証ICタグを読取ることで貸出し、返却が行える。 |
ハンディ型リーダー:棚卸用リーダー、保管棚にある重要文書のICタグを読取るだけで棚卸作業が行える。(無線LAN対応、アクセスポイント含む) |
・文書貸出用端末(パネル型リーダー×1台、サーマルプリンター×1台) |
パネル型リーダー:ICタグ読取機。文書に装着したICタグと社員(職員)証ICタグラベルを読取ることで貸出し、返却が行える。 |
サーマルプリンター:貸出し票の出力を行う。 |
・ゲートシステム×1台 |
ゲートを通過した重要文書・社員(職員)証のICタグを読取り、入退出管理を行う。貸出し処理が行われていない文書が通過した場合、警報ブザー、警報ランプが作動する。通過方向がわかるセンサ機能もついている。 |
・監視カメラ×1台 |
通過者の画像を保存(1年間)、ICタグ情報と自動的に関連付けする。 |