昨年7月に愛媛県今治市の衣料店で万引きし、車で逃げる際に追いかけてきた経営者の久保匡(ただし)さん(当時55)を引きずって死亡させたとして強盗致死などの罪に問われたとび職の少年(17)に対する判決公判が26日、松山地裁であり、前田昌宏裁判長は「万引きなど大したことはないという安易な気持ちで起こした悪質身勝手な犯行で、動機に酌むべき事情はない」と述べ、懲役10年(求刑懲役15年)の実刑を言い渡した。 |
判決によると、少年は昨年7月28日午後5時頃、久保さんが経営する同市内の衣料品販売店で、中学3年の友人2人と足袋4足(4900円相当)を万引きし、久保さんに見つかった。少年は別の友人から借りて近くの駐車場に止めていた軽乗用車で逃げたが、追いかけて車の窓枠にしがみついた久保さんを約80メートル引きずって電柱に衝突。久保さんは車と電柱に挟まれ、頭の骨が折れるなどして死亡した。 |
前田裁判長は、少年が事件の3ヶ月前までひったくりで少年院に入っていて、事件当時も保護観察中だったことにふれ、少年院に戻りたくないという気持ちが無理な逃走につながったと指摘し、「久保さんに大けがを負わせることを認識しながら車を走らせたのは、極めて危険かつ悪質な行為」と断じ、「妻や3人の娘を残し、初孫の成長を見守ることなく亡くなった被害者の無念さは察するに余りある」とも述べた。 |
少年は逮捕後、松山家裁に送致されたが、「犯行の様態が悪質で、結果も重大」として松山地検に検察官送致(逆送)された。公判では、「身につけて地元の祭りに参加しようと、軽い気持ちで足袋を万引きした」と起訴事実を全面的に認め、「大変申し訳ないことをした」と謝罪していた。 |